セルバンテスとコロンブスの面影を訪ねて

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     JUGEMテーマ:ポルトガル

     今までに一度も訪ねたことのない国ポルトガル、ヨーロッパの西端に位置し、日本との関係も浅からぬ国、いろいろの期待を込めて今年の旅が始まりました。もっとも、車を使っての田舎回りなので有名な町は比較的少なくはなりますが・・・

     空路の関係〔大韓航空の運航状況〕でスペインの首都マドリッドが旅のスタートです。ネットの早期割引で予約した空港近くのヒルトン・エアポートホテルマドリッド、このホテルにしては確かに安い料金ですがさすが隅々にセンスの面白さが見うけられます。


     24時間対応の空港からの送り迎え、豪華なビュッへスタイルの朝食、洗練された室内装飾、プールなど老舗のホテルの貫禄を垣間見ました。

     料金〔一人〕 59・5ユーロ〔およそ7700円〕





    セルバンテスの夢 

     スペインの首都を取り囲むように広がるメセタ〔卓上大地〕、紺碧の青い空と茶褐色の荒涼とした大地にセルバンテスの夢がさまよっている。

     小高い山の上の古びた風車の群れと、はるかかなたの山の稜線に数え切れないほどの現代の風車〔風力発電〕のコントラストは、時が立って文明はこんなに進歩したのに、結局自然の偉大さを人類が再認識したという想いにさせられる。



     セルバンテスはマドリッドの近くアルカラ・デ・エナレスの生まれ、1571年のレパントの海戦で英雄となる。しかし、その後は運命にもてあそばれ、結局セビーリャの牢獄につながれる身となり、獄中で構想が生まれたのがあの有名な《ドン・キホーテ》の物語、出版されたのは1615年彼が58歳のときだった。

     1492年、コロンブスによる新大陸の発見で「日の沈まない国」とまでいわれ栄華を極めていたスペインだが、アルマダの海戦で無敵艦隊が壊滅的な被害を受けるに及んで国の勢いも傾くようになってきた。そんな祖国の姿を自分の人生に投影して作品の中で表現しようとした。人間の真実や現実を厳しくとらえた手法が、近代小説の出発点とも言われる。




    友人エミリオの住む街 グラナダ


     マドリッドからタホ川のほとり古都トレド、南下して風車の立つコンスエグラ、途中ちょっと道を間違えながら〔多少の間違いはいつもあります〕目的地グラナダに着いたのは夕方、およそ7時間のドライブでした。小高い丘の上に建つアルハンブラ宮殿、その大型駐車場のすぐ隣にある4つ星のホテル・アリサレスが今日の宿です。

     最近は本当に便利になりました、コンピュータで宿の予約はもちろん〔Google Earth〕等を駆使すればほぼ具体的な位置を掴むこともできようになったのです。我々のように個人で旅をする者にとっては力強い味方ですし、料金もこのクラスで一泊4300円と手ごろな値段で、大きなバスタブと色とりどりの料理が揃った朝の食事が提供されるのですから思わず「リッチ!」と声が出てしまいます。



     毎年、旅に出るとどこかのレストランで〔一日臨時ウルルン〕をするのが恒例となっています、グラナダで顔の利くエミリオに頼んでレストランにもぐりこむ計画を周到に立てたつもりでした。しかし、その日が日曜日であったことと、ご当地スペインでは最近不法移民対策が強化されていて、特に飲食業に当局の目が光っているとのこと、泣く泣く彼の提案した第2案に同意した。

     さてその案とは彼のおいごさんのファミリーパーティをシェラネバダ山脈の麓にある別荘でやるので参加しないかということでした。もちろん、異議なしと一発で同意しました。




    山の別荘のパーティー


     シェラネバダ山脈のふもとにあるこじんまりした別荘、親族一同十数名の大人や子供が参加してそのパーティーは始まりました。

     日本の飲み方と違って男達も積極的に準備に参加しますと言うか、最初から酒盛りをしながら準備をするのです。また、日本の酒の席には子供たちを同席させないことも多いのですが、スペインではできるだけ子供たちも話に参加させ、自由に意見を述べさせます。子供のくせにという言葉はこちらにはありません、このようにして小さいころから自分の意見を主張することが身についてゆくのでしょう。



     アンダルシアと呼ばれるこの地はアフリカや地中海に程近い暖かい地方なんですが、この日は雪の積もったシェラネバダ山脈からの吹きおろしに雨が混じり、しまいに霙〔ミゾレ〕まで降りだしまさに宮崎の冬。少ない長袖を重ね着して寒さに震えながら、温かい心のこもったパーティを楽しみました。



    アンダルシアの情熱 フラメンコ

     今までに何度か観てきたフラメンコ、しかし今回はちょっと様子が違う。週末のサクラモンテの丘は熱気にあふれている、狭い狭い曲がりくねった道をタクシー、ミニバスがせわしなく行きかい人々の波を掻き分けて通る。今日の会場は、はずれの小高い丘に立つ〔ミニ劇場〕、フラメンコの会場としては雰囲気的にいまいちだな。

     200席くらいの席は満員、舞台には数本のマイクとイス、舞台後ろのカーテンが薄手の生地で観客席のわれわれが映って見える。

     やっぱり何か色気ないな、そう思った矢先に開演のブザー。観客席が暗転し舞台がライトアップしてくると状況は一変、あの〔無粋〕な薄手のカーテンが舞台の後ろの壁を巻き上がると、なんとそこには暗闇にライトアップされたアルハンブラ宮殿が、正直《やられた》と言う感動でした。最近、日本でも神社・仏閣・城などの前に特設の舞台をこしらえて演奏や能などが披露されるようになってきましたが、このように常設の劇場を夜景が見えるように造ってあるのは初めてです。






    スペインの《平家村》 カピレイラ

     エミリオの好意でどうしても料理の修行がしたいのなら紹介したい村があるとの申し出、二つ返事で彼の運転する車の後に続きます。

     でも、奥さんのコンチさんが首を縦に振らなかったわけがじわじわと分かってきました。地中海に向かってハイウェーを走ること約30分、左手の小道に入ったかと思うと曲がりくねった山道が延々と続きます、小1時間も走るとはるか前方見上げると雪をいただいたシェラネバダの山々が見えるではありませんか。標高もだんだん上がり肌寒さを感じるようになって来ました。狭い登りの道を走ること1時間30分、山肌にへばりついたような小さなその村カピレイラにたどり着いたのでした。



     1492年、キリスト教徒によるレコンキスタ〔失地回復運動〕によりグラナダの城を追放されたイスラムの王族たちは、はるばるこのシェラネバダ山脈の険しい山奥まで逃げ延びてきた。車で来ても大変な道のり、当時の苦労が痛いほど分かる。

     この村の中心に〔と言っても坂道の途中のこじんまりした広場〕今日の宿オスタル・ポケイラがある。道の両脇の小さな白い家がひしめき合って並んでいて、小さな肉屋、パン屋、土産物屋と続く。さてこの宿、こんな山間にしては大きな建物で庭にプールまで付いていて、きっと真夏には沢山の子供たちでにぎわうことだろう。

     しかし、4月の下旬ともいうのにシェラネバダからの雪で冷やされた空気が私たちに宮崎の冬を思い出させる、さ・む・いー


     この宿のBAR、天井から所狭しとぶら下がっているのは豚のハム、その先のちいさな和傘のような物は油止め。カウンターに座るエミリオの脇を見てびっくり、なんと双子のおじさんでした。

     手前のおじさんの名はフランシスコ、この村に住み着いていた日本人の画家市村修画伯の作品を日本で紹介するために東京に来たことがあるとのこと。市村さんはもう既に亡くなっているが、この部屋の隣のレストランには部屋中彼の作品が飾られている、スペインの偏狭の地までやってきてこよなくこの村を愛した思いが心に伝わってくる。

     さて、この宿の目的は当然《一日ウルルン》待ちかねた夕食の時間がやってきました。4人で4通りのメニューを注文しいろいろの味の薀蓄を傾けながら、さあこれからと言うとき隣のテーブルで異変が起こりました。一人の中年の女性が気分を悪くしたみたいで周りの数人が介抱し始めたのです。その後、女性をゆかに寝かせて介護が始まり、挙句の果てはこんな山の頂上付近まで救急車の登場となりました。そんなこんなで食事の雰囲気は一変にしらけてしまいまたもや《ウルルン》は失敗。 

     
     




    初めての国 ポルトガル

     1543年、中国の船が種子島に漂着しました。その船に乗り合わせていたオランダ人が持っていた火縄銃が、その後の戦国時代の勢力図を大きく揺るがすセンセーションを巻き起こした。

     刀と馬に頼っていた戦術そのものを根底からひっくり返し、少ない人数で大軍を撃退するなど歴史そのものを変えるものだった。

     その後文化生活の面でも、カステラ、カルタ、など私たちにちょっとレトロな思い出を浮かばせてくれる物がこの国から伝えられた。何百年も続いた鎖国の時代さえ《狭い入り口》ではあったが《外国の風》を運んできてくれたのだ。

     最近のこの国は、その当時の面影はなくEUの国々の中でも農業が中心のおとなしい国の一つになっている。米の消費はヨーロッパ一で、工業がまだまだ未発達という事もあり国内に原子力発電所はひとつもありません。しかし、山の尾根伝いには無数の風力発電の風車が立ち並んでいて、ある意味エコの先進国とも言える。

     カディス、ウエルバとコロンブスゆかりの港町を過ぎ、地中海を左に見ながらあっという間に車はポルトガルへ、現在のヨーロッパ諸国の国境はほとんど分かりません、チェックがあったとしてもほんの挨拶程度、日本で隣の県に行くようなものだ。



     ポルトガル南部アルガルヴェ地方の名物料理、カタプラーナ料理【Cataplana】です。地球儀をちょっと上下に押しつぶしたような鍋で海産物や肉などバリエーションも豊富です、マ、簡易の【圧力鍋】と言えるでしょうか、この形のおかげで火の通りがよく中の食材が良く煮えやすいとのこと。



     ポルトガルの食器はどこか温かみがあり素朴で楽しい、ワインを飲みすぎたときには目が回るような気もしないでもないが・・・

     前菜には必ずと言っていいくらい登場するオリーブの実、日本で食べる物よりか脂分があるような気がする。ヒヨコマメにツナのサラダ、チーズも常連だ、しかし、何と言ってもパンが可愛い小袋に包まれて出てくるのがいかにも食べ物が大事にされてて、お客に温かい気持ちが伝わってくる。



    コインブラの奥座敷 日本人経営の自然農園 

     スペイン国境に近いモンサラーシュ・マルバオン・モンサラーシュなど個性的でこじんまりした村々を訪れ、明日は海岸地方を尋ねようとガイドブックを開くと、コインブラの近くに日本人の経営する自然農園の案内が目にとまった。自然農園を営むだけでもかなり変人が多いのに【人のことは余り言えないが・・】、ポルトガルまでやってきて農園を持つのはかなり期待【?】が持てる、メンバーの反対を押し切ってすぐ電話、突然明日の宿泊依頼に先方も戸惑ったが交渉成立。しかし、これが後にちょっとした騒動になろうとはその時誰も思わなかった。

     学生の町コインブラを横目に見ながら、一路海岸に近づく。インターを降りた小さな町の公衆電話から連絡、すこぶる順調、途中車で先導してくれる人まで現れゴール寸前の感触。しかし、これからが遠かった、キンタ【農園】・デ・サン・マテウスと言えばさすがにどの人に聞いても知っている、雑木林や畑に囲まれた小道を何回も何回も行ったりきたり、途中道を教えてくれたポルトガル人の悪口も言いながら苦戦すること1時間、偶然茂みの切れ間を見つけ崩れた道を降りてゆくとそれがありました、【奥座敷】の意味がやっとこのとき分かったのでした。



     ご主人は今年70歳になる是月次郎さん、名前を忘れてしまいましたが奥様はベルギー人で8ヶ国語を話す、もちろん日本語もオッケー。東京で造園の仕事の区切りをつけ安住の地を求めて日本全国を旅し、途中宮崎にもちょっと気がむいたこともあったのですが、内海の石油備蓄のタンクを見つけて断念、それからこの地ポルトガルに移り住んで16年ほどになるそうです。

     この日の夕食は何か日本の家に戻ったかのよう、ご飯、味噌汁はもちろんのこと農園で取れた野菜をふんだんに使ったサラダ、それに自家製10年物のワインやリキュールまで登場、話も弾みこの国のガイドブックには載らない沢山の情報を頂きました。

     中でも面白かったのは、ポルトガル人の性格についてでした。どんな分からないことでも、ほとんどできないことでも決してできない・知らないと言わないのがこの国の人の性格なんだそうです。そういえば、道を尋ねたときに平気で反対方向を、しかも自信たっぷりに教えた人もいました。【なるほど】




    ポルトガルの犬


     これは是月さんの愛犬《ORI》チャン、リスボンの有名人から譲り受けたメス犬です。とても活発な【お嬢さん】で、どういうわけか男性に構ってもらうのがうれしいようで、朝から広い農園を元気に先導してくれます。オリンピックのオリを取って名前をつけたのだそうです。ただ、そのほかの犬たちはいたってのんき、私たち知らない日本人がそばを通っても道路に寝そべっていて、体は動かさず目の玉だけが人を追います。
     しっかり犬をやってくれ!と言いたくなります。




    ドラキュラ伯爵の弟子たちが闊歩する町 コインブラ

     ポルトガル第3の町コインブラは文化の中心、人口は9万人ほどしかないが、数多くの政治家や文化人たちを世に送ったコインブラ大学が中心の丘の上に広がる。おりしもこの5月は卒業の季節、私たちが街についたこの日はそのセレモニーに参加する学生たちと、その家族でホテルがいっぱい、やっとの思いで宿が見つかりました。

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